本町地区の野村晴一さん 自宅に発電機やポンプ

 消防団員や交通指導員として、生まれ育った和歌山市本町地区の安心・安全を半世紀以上見守ってきた野村晴一さん。95歳を迎えた今年、災害時に備え、スコップやヘルメットなどを自宅倉庫にまとめた。「災害が起こらないに越したことはないが、何かあった時は防災倉庫として役立ててほしい」。地元への愛情と、防災意識の熱は冷めない。

 野村さんは57年間、本町交通指導員会に在籍。1974年には、子どもたちが横断歩道の渡り方や道路標識を学ぶための少年団を立ち上げた。

 地区の消防団には22歳で入団。まだ戦争のつめ跡が残っていた当時は、木造の仮設住宅が多かった。「よく火事が起こり、現場に駆けつけた。そのころ防災への意識が高くなりました」

 今年設置した防災倉庫には電動のこぎりや発電機、火災時に使用する放水用ポンプほか35点を収納した。思い出深いのは3升の米を炊けるかまとかまど。「生まれる前から家で使っていたので愛着がある。まだまだ現役だし、台車で運べるので、いざという時に活躍してくれるはず」

 消防団で共に活動した柏木新治さんは「昔から地元のために力を惜しまない人。用意してくれた道具も街のみんなで有効に活用できたら」。野村さんは「コロナ禍が収束したら地域の人と、ポンプやかまどの使用訓練を行うつもり。使いこなせるようになって、みんなで本町地区を災害から守れれば」と意欲を見せている。

写真=「災害時に役立てて」と野村さん

(ニュース和歌山/2021年6月12日更新)