創業43年の果物店、千歳屋(和歌山市神前)。スイカやメロンの器で作るカットフルーツが誕生日やイベントを華やかに彩ると評判です。ゼリーやサンドイッチも果物専門店ならではの趣向を凝らしており、オーナーの堀内由起子さん(57)は「季節のフルーツをふんだんに使ったメニューは、インスタ映えすると、若い人に人気です」とほほ笑みます。
喜ぶ笑顔 想像し
──店はいつから?
「父が43年前に始めました。いつか私もと、高校卒業後、丸正百貨店にあった果物店で3年間修業し、その後も色んな店で経験を積みました。40歳ごろから父に代わって仕入れに携わり、12年前に店を譲り受けました」
──こだわりは?
「果物王国・和歌山の旬を中心に並べています。これからは海南市高津の桃ですね。秋は和歌山市東山東の白イチジクや葛城山の吹き下ろしを受けた九度山の柿。冬のミカンは1箱を最後まで飽きないよう、あえて酸味のあるものをすすめています」
──なぜ加工を?
「果物を贈る習慣が減る中、日常生活の中で食べやすいようにと3年前、カットし手を加えたメニューを並べ始めたところ、お年寄りや若い人が買ってくれるようになりました。果物離れと思っていましたが、果物自体は好きなんだと感じました。そこからアレンジの幅を広げています」
──切って盛り付けた商品が鮮やかですね。
「スイカやメロンの中身をくり抜いた器に、様々なカットフルーツを盛り付けた『スイカボール』や『メロンボール』が人気です。店を継いだころ、お客様に頼まれて始め、口コミで広まり、今では定番メニューです。花やイルカの形にカットし、皆の笑顔を想像しながら飾り付けるのは心が踊ります。もっと驚かせたい、喜んでもらいたいと、どんどん盛り盛りに(笑)。ケーキ代わりに注文する人が多く、誕生日会で見たと買い求める人が増えています」
アイデア続々
──おすすめは?
「容器いっぱいに果物を詰め込んだフルーツたっぷりゼリーです。果物店だからこそのぜい沢な一品です。桃は一度コンポートする、スイカとチェリーを合わせるなど季節ごとの味を生かしています。ヨーグルトを混ぜた生クリームとフルーツのオープンサンド、生の果物をシェイクしたジュースも好評です。また、発酵飲料のコンブチャは、旬のフルーツを組み合わせて漬け込み、変化をつけています。チャコール(食用炭)とレモン、グリーンスムージー、自家製甘酒、ヤマモモ、梨とレモンほか、色んな味を楽しめますよ」
──あれっ……!? 巻きずしもあるんですか?
「韓国の巻きずし、キンパで、土日限定です。韓国が好きで、色んな店を食べ歩き、スイーツの参考にするのですが、ズラリと並んだキンパを見て日本でもブームが来ると確信しました。ごま油と塩で味付けした米で具材を巻いた自慢の品で、牛肉の甘辛煮やツナキムチなど4種類あります」
──今後は?
「“次は何をしちゃろうか”と考えるのが面白く、どんどんアイデアが浮かんできます。天職ですね。今はフルーツのかき氷やフローズンを準備中。40年続いた信頼で、おいしい果物を食べたい時に選んでもらえる店を目指します」
【千歳屋】
和歌山市神前385-9
10:00〜18:00
㊊定休
☎︎073・472・4147
(ニュース和歌山/2021年7月3日更新)