《回答者》

貴志川リハビリテーション病院
手・足の外科センター
整形外科専門医 手外科専門医
谷口泰德 副院長・センター長

 「ばね指」とは、指を曲げる腱と腱鞘との間で通過障害が起こり、指の付け根に腫れや痛みがでる腱鞘炎のことです。腱鞘炎になると指を伸ばす時に引っかかりと強い痛みが生じるので、ばね指といわれます。さらに悪化すると指が動かなくなる「ロッキング指」になることもあります。

 ばね指は中高年に多く、糖尿病、透析患者さんにも発生し、重症になる傾向があります。最近はパソコンやスマホで指を過度に使い過ぎて、ばね指になる人が増えています。糖尿病や生活習慣を改善し、ばね指にならないように注意してください。

 ばね指になれば、治療は手指の安静とステロイド注射を行います。通常は2〜3回の注射で改善します。しかし、この方のように注射をしても再発する時や悪化して指が動かない「ロッキング指」の場合は手術が勧められます。手術は局所麻酔で、小さな皮膚切開で、時間は5〜6分程で終わります。確実に腱鞘切開が行われておれば、ばね指の再発はありません。腱鞘の不十分な切開などで、術後経過が良くない患者さんもおられますので、ばね指になれば治療について早い段階で手外科専門医に相談しましょう。

(ニュース和歌山/2021年8月29日更新)