消防庁の情報によると、今年の6月1日から8月15日の間に、熱中症で救急搬送された方は、全国で3万6573人(前年比1・08倍)とほぼ前年と同じでした。しかし、お盆の長雨による気温低下前の8月8日までは、全国で3万4768人(前年比1・6倍)、和歌山県内でも317人(同1・2倍)と前年より多く、亡くなられた方は全国で62人、県内でも1人いました。
熱中症とは、体温が上がり、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、調節機能が働かなくなり、めまい、けいれん、頭痛などの症状を起こしたりする病気です。特に、体温調節機能の発達していない乳幼児、暑さやのどの渇きを感じにくくなるといわれている高齢者は注意が必要です。
全国の救急搬送された方で、高齢者は56・5%、発生場所は住居が39・9%と最も多くなっています。予防については、環境省が「熱中症予防情報サイト」で日々の暑さ指数と共に警戒情報を発信しています。
図は、昨年と今年の毎日午後1時の暑さ指数と、昨年、熱中症で救急搬送された人数を表したものです。注意期間は5月から10月中旬まで、中でも危険な期間は8月です。昨年と今年では、暑さ指数はほぼ同じですが、今年の救急搬送者数は、昨年よりも多くなっています。
新型コロナウイルスにより、不要不急の外出自粛やマスク着用が求められていますが、心拍数や呼吸数、血中二酸化炭素濃度、体感温度が上昇するなど、身体に負担がかかる上、若い方でものどの渇きが分かりにくくなり、隠れ脱水症を起こしやすいといわれています。
日本気象協会によれば、今後の気温は平年並みの予報です。昨年と同じであれば、9月中旬まで、厳重警戒や警戒が続きますので、あと少しの間、熱中症にご注意ください。
和歌山社会経済研究所研究委員 中西 望(第4土曜担当)
(ニュース和歌山/2021年8月28日更新)