和歌山市藤田 いの屋に自販機
県産の猪(いのしし)と鹿(しか)肉を取り扱う和歌山市藤田41-1のいの屋が10月19日、ジビエの自動販売機を導入した。代表の北浦順嗣さんは「『ジビエ専門店にはちょっと入りづらい』と言う方も、自販機なら買っていただきやすいのでは。山の恵みを手軽に楽しんでほしい」と話している。
猟師歴52年で、和歌山鳥獣保護管理捕獲協会の会長も務める北浦さん。いの屋では同協会の会員が捕った猪や鹿を中心に販売する。店が休みの土日には北浦さんも猟に出るが、「山にいる時も『ジビエを売ってほしい』との問い合わせが携帯電話へ転送されてくる。お客さんの要望にこたえられないか」と以前から頭を悩ませてきた。
そんな中、冷凍餃子の自販機が人気を集めているとニュースで知った。早速、自販機業者に連絡し、この機械を応用して実現した。
現在、並ぶのは、冷凍の猪と鹿それぞれの焼き肉用、猪のくん製など5種類で、価格を全て1000円に統一した。すき焼き用の猪モモ肉にはぼたん鍋、鹿のあらびきミンチにはつみれ味噌鍋やレンコン大葉の挟み揚げなど、調理の参考にレシピを添える。
19日夕方に自販機を設置。翌朝見ると、猪の焼き肉用モモ肉を中心に11個売れていた。「一晩でびっくり。その後も安定して売れています。農業への獣害を減らし、かつ、山からいただいた命をムダにしないためにも、多くの方に味わってもらいたい」と願っている。
(ニュース和歌山/2021年10月30日更新)