《回答者》
◆外 科
楽クリニック
藤田 定則院長
肛門の違和感を自覚される方の多くに、軟便の傾向があります。水の中で形が崩れるくらいの柔らかい便(軟便)は、排便時に力を入れなくてもスッと出て、楽な感じがします。しかし軟便は、一般的に排便回数が多くなるため肛門に負担がかかりますし、直腸内から出きってしまわず、残便感や違和感などの原因になります。
また、軟便や下痢便はきれいに拭き取ることが難しく、何度も強くこすり拭きしたり、温水で洗浄しがちです。刺激の強い腸液を含んだ軟便や下痢便で傷ついた肛門の皮膚を、さらに強く拭いたり洗浄することで皮膚のバリア機能が失われると、かゆみやただれ、切れ痔の原因となります。
硬過ぎずゆる過ぎない、適度な硬さがあるバナナ状の便を毎朝すっきり出せれば問題は解消していきます。まずは良い便のため、食物繊維の多い食事と適度な運動を心がけましょう。便通コントロールができれば、腸や肛門の調子も整います。一方で、便通に良いといわれる野菜ジュースや牛乳、ヨーグルト、豆乳などによって軟便になっている人もいます。実は乳製品などが身体に合わずにお腹を下すこともあるのです。心当たりのある方は摂取を控えた方が良いでしょう。
(ニュース和歌山/2021年11月28日更新)