バラのような形をした松ぼっくり、シダローズ。和歌山城内の護国神社では11月下旬から2月にかけ、シダローズを探す人がやってくる。社務所職員は「親子連れが拾って、首飾りやリースの材料にするようです。毎年9月の詩吟大会で全国から集まる人に配ると、喜んでくれます」とほほ笑む。
ヒマラヤスギと呼ばれる松の仲間で、別名ヒマラヤシーダー。10×8㌢の卵型をした大きな松ぼっくりは大半がバラバラになるが、先端部分のみ固まった状態で落下する。これがバラのように見えることから、「シダローズ」と呼ばれる。県立自然博物館の内藤麻子学芸員は「ハゼの種を“きつねの小判”や“たぬきの小判”と呼ぶ地域があるように、シダローズも愛称のようなもの」と説明する。
地面や落ち葉と同化しており、見つけられる確率は低い。和歌山市では汀公園や岡東公園、長町公園などにあり、中でも6本の木がそびえる護国神社は知る人ぞ知るスポットだ。
2年前から仕事の休みに訪れる久保光裕さんは「同僚が子ども会のリース作りワークショップ用に集めていると聞き、子どもが喜ぶならと拾っています。カラースプレーで着色したものは、色とりどりのバラのようできれいですね」。お城の樹木に詳しい語り部の楠見修三さんは「あまり知られておらず、案内すると驚かれます。探す時は、松ぼっくりのカケラや雄花が目印になりますよ」と話している。
(ニュース和歌山/2021年12月11日更新)