ゴミ減へ再利用可能な米袋も

 米にかかわる総合メーカー、東洋ライス(本社・和歌山市)は、創業60周年社会事業として、栄養価の高い玄米由来の新たな食品素材を開発。米の輸送時に使う袋を再利用可能なものにする取り組みも進めている。

 米から石を取り除く機械や、世界初の無洗米などを手掛けてきた同社。新開発の食品素材は「玄米エッセンス(仮称)」で、玄米からビタミン、酵素など栄養やうまみ成分が含まれる亜糊粉層(あこふんそう)を抽出し、粉にした。

荷台へ手作業で積み込み、フォークリフトで運んでいた

 小麦粉やそば粉を使用した加工食品に入れると、味を損なうことなく、栄養価を向上させられるのが特徴。小麦粉の5%を玄米エッセンスに換えた食パンは、ビタミンB1が2倍、B6が3倍、アミノ酸の一種、ギャバは6倍に増加した。

 今後、玄米エッセンスを含んだ食品を製造・販売するほか、他の食品メーカー、外食産業、学校給食などに提供していく。企画広報部の関博行部長は「健康増進により、医療費削減につながれば」と期待する。

新開発のコンテナバッグだと、荷台へ積む作業がなくなる上、再利用が可能

 

 一方、物流面での社会貢献として目を付けたのは、玄米の流通に利用する袋の素材だ。現在、国内の米穀企業に流通する米は年間約470万㌧で、51%にあたる約240万㌧については紙袋を使用している。米の入った紙袋は1袋30㌔。トラックからの荷下ろし、工場でのタンクへの投入など、全て手作業で行っているため、重労働となっている。また、一度開けると再利用できず、廃棄するしかない。

 これらを解消するため、全国農業協同組合連合会と連携し、プラスチックの一種で再利用可能なポリプロピレン製のフレキシブルコンテナバッグへの切り替えを図る。フォークリフトで運搬する際、荷台への積み込みの手作業がなくなる上、廃棄する紙を年間約1・8万㌧減らせる。

 関部長は「国民の健康増進、ゴミ削減や労働環境の改善と、SDGsへの貢献を米業界全体で推し進め、時代に合わせた取り組みを行っていきたい」と話している。

(ニュース和歌山/2021年12月18日更新)