昭和三十年前後と思われる写真です。土蔵造りの家屋が一列に並んだ光景は壮観です。

 明治時代の実測図を見ると、大和街道(国道二四号)に沿って南側に建物が連なっていたことがわかります。もとは約二百㍍、このような家屋が連なっていたといいますが、やがて建て替えが進み、五十㍍程の区間で完全に残っている部分をとらえたのがこの写真です。

 現在では途切れ途切れに数軒を残すのみです。堤の斜面に掛けるようにして建築されているため、改築されていない家屋では、玄関を入ったところの土間がそのまま斜路になって奥に続いています。

 紀国堂=和歌山市ト半町38=店主、溝端佳則さんの古写真を紹介してきました。「紀州百景」は今回で終了します。ご愛読ありがとうございました。

(ニュース和歌山/2021年12月18日更新)