《回答者》
◆消化器外科・一般外科
福外科病院
消化器外科専門医
大腸肛門病専門医
消化器病専門医
福 昭人院長
直腸脱とは、おしりのしまりが弱くなり、直腸が全周にわたって肛門から脱出する病気で、初期では痔と区別しづらいものもあります。直腸壁の粘膜下層だけが出ている状態を不完全直腸脱といい、直腸壁全層が反転して脱出している状態を完全直腸脱といいます。
成人型直腸脱は、骨盤底筋群と肛門括約筋の弛緩（ゆるみ）で生じ、脱出を繰り返すことでさらに肛門括約筋がゆるんで悪化します。通常５～10㎝程度の直腸壁が反転し、その全層が肛門から脱出します。
診断は容易で、下腹部に力を入れて、いきんでもらった状態で視診し判断します。しかし、専門医でないと痔の脱肛との鑑別が困難なことがあります。
治療法は外科的治療以外にはありません。肛門からの治療以外に、腹腔鏡を用いることで、病巣部を切開しなくても、小さな傷だけで直すこともできます。一度、大腸肛門病専門医にご相談ください。大腸肛門病専門医は、日本大腸肛門病学会のＨＰで検索できます。
（ニュース和歌山／2022年2月27日更新）
