麻をテーマにしたイベント「春に吹く風」が3月20日㊐、和歌山市伊太祈曽の伊太祁曽神社で開かれる。主催するのは同市本町で衣類へのプリント事業を営み、昨年秋、麻素材の加工用ウェアブランド「KAZE(ケイズ)」を立ち上げたワカヤマウッディーズの辻岡大樹代表(34)です。イベントと麻への思いを尋ねました。
伊太祁曽 会場に
──どんな催しですか?
「和歌山の繊維産業を盛り上げるための神事と催しを1日限定で行います。根底にあるのは地場産業への思い。昨年9月に立ち上げた麻(ヘンプ)素材の加工用Tシャツブランド『KAZE』のローマ字読みにちなみ、海や山、川といった身近な自然と調和する風のように、春が訪れた和歌山に吹く風を体感してもらえます」
──なぜ伊太祁曽神社を会場に?
「企画メンバーの一人、繊維用加工樹脂などを製造販売する三木理研工業、三木裕介さんが昨春、伊太祁曽神社で麻に関する上映会をしました。神社ではしめ縄やはらい串などに麻の繊維を使っています。麻ブランドを通して僕も神社とのご縁を感じ、木の神様、五十猛命をまつる伊太祁曽神社で行うことにしました」
──見どころは?
「朝の祈祷に始まり、林業に携わる人の労働歌『木遣り』を奉納します。この後、紀伊半島や木にまつわる短編映画の上映、トークショーと続きます。神社の奥重貴禰宜や地元企業の経営者らと、麻の歴史や和歌山ニットの可能性、地域活性化や環境問題を熱く語ります。飲食店や体験ブースなど25店も。麻から抽出した天然成分を用いた菓子、地元のメリヤス生地で作った洋服のようにも着られる着物など、麻や地元にこだわる個性的な店も並びます」
“麻”と和歌山
─“麻”推しの理由は?
「万葉集に『あさもよし』という紀の国の枕詞があるように、かつて和歌山では麻を育て、衣にしていたと言われます。現在は日本有数のニット産業があり、他ブランドの製品を作るOEMのメッカ。この技術を発信したいと県内にある繊維加工会社の力を借りて考案したのがKAZEです。二次加工自由な無地服で、麻とコットン素材のものは珍しく、染めるのも、縫うのも全てメイドイン和歌山。麻は着心地が良く、機能的で元々好きでしたが、少量の水で栽培でき、二酸化炭素を多く吸収することから、近年、エコな繊維と注目する人が増えています」
──今後は?
「目指すのはKAZEを通して地場産業で頑張る人々を知ってもらい、地元のものを買い、地元を潤すバイローカルを広めること。麻の魅力や和歌山の産業を全国、世界の人に伝えていきます」
KAZE POP UP in 伊太祁曽神社
午前10時~午後5時。午後から短編映画『RINNE』『空師』の上映、ご神木前でアーティスト3組の音楽ライブ。ジビエカレー、パン、菓子、リユースグッズ、ミニ畳作り体験、紀州材つみ木の遊び場などの出店も。入場無料。雨天中止。詳細は「KAZE POP UP in 伊太祁曽神社」インスタグラム。辻岡さん(090・5975・0774)。
(ニュース和歌山/2022年3月19日更新)