《回答者》
◆外 科
楽クリニック
藤田 定則院長

 肛門近くの違和感から始まり、痛みを伴いながら腫れていく「肛門周囲膿瘍」という病気があります。普段から下痢や軟便の方、毎日飲酒する方、疲労で抵抗力が弱っている方、温水便座を常用している方などに発症する傾向があります。

 最初は違和感程度ですが、次第に痛みが強くなっていき、時間経過とともに急速に腫れも大きくなります。なかには、高熱を伴う人もいます。

 治療の基本は、切開して膿を出すことです。膿が出ると痛みは和らぎます。初期の「少し腫れている」程度であれば、薬で治ることもあります。

  肛門周囲膿瘍を繰り返していると、「痔ろう」へと進行します。痔ろうは手術でなければ治りません。治療せず放っておくと痔ろうの状態が複雑化し、治療が困難となり、まれに「痔ろうがん」になることもあります。

 肛門周囲膿瘍を疑う人や、何度も再発している人は、重症化する前に、根本的な治療を受けるようにしましょう。

 

              (ニュース和歌山/2022年3月26日更新)