《回答者》
◆整形外科貴志川リハビリテーション病院
手・足の外科センター
整形外科専門医 手外科専門医
谷口 泰德副院長・センター長

 リウマチの患者さんが、ある日痛みを伴わないで突然指が伸ばせなくなることがあります。指が伸びなくなるのは、指を伸ばす腱(伸筋腱)が手首を通る所で切れてしまうためで、伸筋腱断裂と言われます。原因はリウマチによる手首の炎症が腱を傷つけて、さらに手首の変形した骨の上を通過する腱がこすれて、すり切れるためです。腱が切れると、次々に隣の腱も切れていくことが多いです。そのため適切な治療をしないと小指、薬指、中指、人さし指の4本の腱まで切れてしまうこともあります。思うように指を伸ばせないので日常生活の細かい動作に支障をきたします。診断は手首の腫れたリウマチの患者さんが、急に指が伸びなくなれば診断されます。そしてレントゲン検査で手首の骨の変形を確認します。

 治療は腱が切れた場合は、他の指の腱が断裂する恐れがあるため早期の手術が勧められます。腱は炎症によりすり切れ断裂しているため、そのまま縫い合わせることはできません。残っている腱に縫い付けるか腱の移植をするなどの工夫が必要です。必要に応じて滑膜切除や関節形成術を追加します。急に指が伸びなくなったら、早めに手外科専門医を受診し、治療についてご相談下さい。

(ニュース和歌山/2022年5月28日更新)