つくり育てる会発足
公立夜間中学の設置を求める市民団体「和歌山の夜間中学校をつくり育てる会」が5月30日、発足した。メンバーは教育関係者ら15人で、山口裕市会長は「現在、岩橋夜間中学で学ぶ北川順子さんが元気な間に実現したい」と意欲を見せる。
教育機会確保法が2016年に成立し、21年には当時の菅義偉首相が「今後5年間で全都道府県と政令指定都市に設置」と国会で答弁。県内では昨年6月、公立夜間中学の生徒を追ったドキュメンタリー『こんばんはⅡ』が3市で上映され、認知されつつある。今年4月、県と同市の教育委員会へ進ちょくを確認したところ、設置の意向はあるものの具体的な動きに至っていないことから、後押しするため、会を立ち上げた。
近年は不登校で形式的に中学校を卒業した人や日本で働く外国人とその家族など学びのニーズが多様化する。一方、公立夜間中学の設置を求め、自主夜間中学で学ぶ北川さんらが署名活動を行ってきた。和歌山信愛大学の江口怜助教は「学校に行けなかったとの喪失感を持つ人たちの受け皿として重要。設置して終わりではなく、当事者が『学びたい』と声を上げやすい地域をつくり出せれば」と願っている。
今後、署名活動を行い、7月末と11月に県と市へ要望書を提出。その後は設置に伴う条件整備に関する支援を行う。入会は江口助教(073・488・6228、メールeguchi@shinai-u.ac.jp)。年間1口1000円。
岩橋夜間中学で教える吉本拓司さんの人権バンド、ブリッジロックいわせが、公立夜間中学の設立を呼びかけるミニコンサートを6月26日㊐午後2時、JR和歌山駅前のわかちか広場で行う。オリジナル曲『識字カルタの歌』ほかを演奏。1時半と3時半に『こんばんはⅡ』の上映と署名活動もある。森さん(090・5902・9383)。
(ニュース和歌山/2022年6月18日更新)