絆工場 社会復帰への第一歩に

 ひきこもりからの社会復帰を支援すると共に、高齢者が活躍できる場をつくろうと、和歌山市雄松町の絆(きずな)工場がムクナ豆を使った加工品作りに取り組んでいる。共同代表で、県生活支援専門アドバイザーの高林稔さんは「働くことで社会とつながりを持つきっかけにしてほしい」と思いを込める。

豆のできを確認する篠原さん(左)とスタッフ

 ムクナ豆は、パーキンソン病や認知症に効果があるとされるL─ドーパを多く含んでおり、最近注目されつつある。絆工場では、共同代表の一人、篠原道雄さんが白浜町の遊休農地を借り、昨年から栽培。社会復帰を目指す人向けのグループホームで暮らす20、30代の2人が、地域の若者たちと共に汗を流す。

 11月に収穫した豆は和歌山市の作業場へ。粉末状のむくな豆コーヒー、ティーバッグ型のむくな豆茶、サラダや天ぷらにかけるふり塩に加工する。この後の包装は、自宅で過ごすことの多い高齢者に有償ボランティアとして依頼。担当する70代女性は「簡単な手伝いだけど、この商品が病気に悩むだれかの役に立てていると思うとうれしいですね」と喜ぶ。

 商品はパーキンソン病で悩む家族へのプレゼントに購入する人もいる。高林さんは「将来的に障害を持つ人も働ける場所を目指しています。人と人、人と地域、それぞれに助け合いながら、この豆から生まれたきずなを大切にし、和歌山と白浜を元気にしたい」と目を輝かせている。

 和歌山市雄松町4─4─5の作業場、紀の川市貴志川町長山1282─3のおいけのまど、ネットショップ「ベイス」で販売。詳細は「絆工場」HP

 

(ニュース和歌山/2022年9月10日更新)