《回答者》
◆脳神経外科
貴志川リハビリテーション病院
亀井 一郎院長
飛行機内の湿度は、一般的に20%程度に抑えられています。地上で「快適」とされる湿度は40~60%ですから、「激しく乾燥している状態」といえますね。これには「結露を防ぐ」という大きな目的があります。
高度1万㍍の上空では、外気温はマイナス30℃以下になりますが、機内はエアコンで23〜25℃になるように調節しています。このように著しい温度差のある状態で機内の湿度を上げてしまうと、冬場の窓ガラスに水滴がつくのと同じように、外気と機内の温度差によって機内のあちこちに水滴が付き、錆による腐食や電気機器の不良を引き起こす原因となります。そのため、機内の湿度は低く設定されているのです。
ただ、この湿度では、肌も荒れるし、喉の炎症なども気になります。しかし、もっと怖いのは血液中の水分が減少して、血がネバネバになることです。その結果、血栓ができやすくなり、エコノミークラス症候群や心筋梗塞、脳梗塞に陥りやすくなると考えられます。
機内ではこまめに水分を摂取するよう心がけましょう。ただし、アルコール飲料は利尿作用があるので、たくさん飲むと脱水が進行し、逆に血液のネバネバを促進することになります。ご注意ください。
(ニュース和歌山/2022年10月23日更新)