《回答者》
◆整形外科
貴志川リハビリテーション病院
手・足の外科センター
整形外科専門医  手外科専門医
谷口 泰德副院長・センター長

 キーンベック病は月状骨軟化症(げつじょうこつなんかしょう)とも呼ばれます。約100年前にオーストリア人医師のキーンベックが初めて報告したためキーンベック病と呼ばれています。手首には8つの骨があり、そのうちの1つの月状骨の血流が悪くなりつぶれて、手首に痛みがでます。特に手を使った後、手首の真ん中に痛みと腫れがみられます。手首の動きが悪くなり、握力も低下します。病気を放置しておくと、月状骨がつぶれて割れてしまうことがあります。原因は不明ですが仕事で手をよく使う男性に多くみられます。テニスや野球をしている人、女性や高齢者にもみられることがあります。

 レントゲン検査で月状骨に変形があれば診断されます。MRI検査では早期の診断ができます。治療は年齢、症状、レントゲン検査での骨の変形の進行に応じて選択されます。保存的治療ではギプス固定や装具で手首を安静にして治します。症状が改善しない時や骨の変形が進行している場合は手術による治療が選択されます。手術は進行程度に応じていろいろな手術法が行われます。例えば割れた骨を切除する方法もあります。詳しいことは手外科専門医にご相談ください。

(ニュース和歌山/2022年11月26日更新)