《回答者》
◆外 科
楽クリニック
藤田  定則院長

 寒い時期におしりの調子が悪くなる方はとても多いです。水分の摂取量が減って便秘気味になる上、冷えによる血流の悪化のため、いぼ痔が腫れたり、脱出や出血するなど、進行してしまうのです。いぼ痔は、「排便時に出血のみで痛みなし(第1段階)」「排便時に肛門から脱出するが自然に元に戻る(第2段階)」「排便時に脱出し、指で押し込まないと戻らない(第3段階)」「押し戻しても出てくる、常時脱出している(第4段階)」の順に、少しずつ悪化していきます。

 対策として、まず、体を冷やさず温めること。入浴は湯船にしっかりつかりましょう。積極的に白湯など水分(500~600㎖のペットボトル2本分、約1.2ℓ程度)を摂るようにし、便秘症の人は、食物繊維の多い煮野菜などをしっかり食べ、ウォーキングなどの運動を習慣化しましょう。また、便を溜めると肛門に負担がかかり、血流も悪くなってしまいますので、毎朝の排便がとても大切になります。出ない時には浣腸も有効です。

 排便調整と薬の使用で、第2段階までの症状なら改善することが多いですが、第3段階になると、治療には手術が必要となります。日頃から意識して対策し、寒い時期に悪化させないよう十分注意が必要です。

(ニュース和歌山/2023年1月29日更新)