《回答者》
◆整形外科
貴志川リハビリテーション病院
手・足の外科センター
整形外科専門医 手外科専門医
谷口 泰德副院長・センター長
手首の手のひら側に、手の神経と手指を曲げる腱が通るトンネルがあり、このトンネルは手根管(しゅこんかん)と呼ばれます。骨折による手の〝むくみ〟や骨折後の手首変形によりトンネルが狭くなり神経が圧迫され、手指にシビレが出現します。この神経の病気は手根管症候群と呼ばれます。骨折以外に更年期の女性に多くみられるため、女性ホルモンの関連も指摘されています。糖尿病、腫瘍、リウマチ、人工透析、妊娠なども手指のシビレの原因になります。症状は親指、人差し指、中指にシビレが出ます。夜間明け方に、強いシビレや痛みが起こり、目が覚めます。病気が進行すると親指が不自由になり、ボタンかけなどの動作が困難になります。
診断は特徴的な症状、レントゲン・CT検査で確定されます。病気の重症度をみるために神経伝導速度検査を行います。骨折が原因の手根管症候群の治療は手術が必要です。手術は局所麻酔で短時間にすみます。手術により手根管内で圧迫されている神経の障害をとります。術後数日から数ヶ月で症状は改善し、治ります。術前の症状が重症の人、高齢者では治るまでに時間が要することがあります。詳しいことは手外科専門医にご相談下さい。
(ニュース和歌山/2023年2月26日更新)