人気映画『シン・ゴジラ』を鑑賞した。少年時代にモスラやメカゴジラなどゴジラシリーズに夢中になった経験があり、話題作を見ておこうと劇場へ走った▼ジオラマや着ぐるみが主体だったシリーズも、最新作は撮影やCGの技術が進歩し、現実世界と見まがうほどの映像に。その迫力に圧倒された。政府の危機管理体制、放射能汚染問題など、現代社会が抱える課題を織り込んだ物語も印象深かった▼過去の作品も見たくなり、『ゴジラ対へドラ』を借りた。ヘドロの海で誕生した怪獣、へドラが街や人々を襲い、光化学スモッグや海洋汚染といった環境破壊の怖ろしさを感じさせる内容だった▼いずれも作品の背景にあるのは社会問題。ゴジラ作品の魅力は、そういった向き合うべき問題を見る人に提示してくれる点だと感じた。人々の心に油断や慢心といった〝怪獣〟が生まれ続ける限り、シリーズはこれからも続くだろう。そうならないように、と思いつつ、ついつい次回作にも期待してしまう。(林)
(2016年9月24日号掲載)