「企業」と呼ばれる組織体の存在なくしては、我々の生活は成立しえません。企業が提供する商品やサービスを買う、また、買うためのお金は企業で働くことによって手にします。あるいは、企業の株式を買って配当金などを手にされている方も少なくはないでしょう。

 企業は商品やサービスを販売するだけでなく、株式を買ってもらうことでも新たなお金を手に入れられ、それを新たな研究や製品の開発や工場を建てたり、機械を買ったりすることに使うことができます。松下幸之助氏は「企業は社会の公器である」と、その関係性を非常に重視されていました。

 近年、身近な存在である企業と個人、その集まりである社会との関係が大きな変化を見せています。

 「モノ」を買うことを極力控え、必要とあらば借りるか、シェア(共有)するという消費の流れがあります。

 買うとしても、商品そのものは魅力的でも、商品が提供される前段階(生産、物流、販売など)において得心がいかなければ買うことをやめる、という流れもあります。生産から販売までの段階で、「環境汚染物質が相当量排出されている」「その削減に熱心でない」「そんな企業の商品は手にしない」といった流れです。

 現代の企業経営には、こうした変化、流れへの適切な対応が求められています。

 逆に、大きな変化を見せていないのは、企業不祥事。コンプライアンス(法令遵守)上の問題の頻発です。長年にわたり、その都度防止策は講じられてきたのですが、無くなりません。そうした歴史を振り返ると、「これぞ!」という防止策は恐らく、無いものと思われます。

 では、どうすれば。1つは「小さいうちに芽を摘む」ことでしょう。人間は弱い存在です。それゆえ、「ついつい」が重なり、大きな不祥事、問題となってしまう。そうならないよう、一見、ささいと思われるトラブルなどにもきちんと目配りをしていく。こうしたことも、現代の企業経営にとっては非常に重要です。

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 「土曜講座」は今回で終了です。長らくのご参加、ご愛読ありがとうございました。関連記事

(ニュース和歌山2016年3月26日号掲載)