先日受けとったニュースレターに「和歌山の街ににぎわい感が少ないのは、市街地のど真ん中に和歌山城があるせいでは」とのコメントを見つけた。確かに、うっそうとした雰囲気はにぎわいとはほど遠い▼近年はアジアからの観光客が大勢訪れるが、花見やイベント以外で足を運ぶ一般市民は昔ほど多くない印象だ。理由の一つに、20年ほど前、砂の丸や二の丸前にあった店舗が撤去され、食事してくつろげる場所がなくなったこともあるだろう▼かつては、「ご飯を食べるため、お茶を飲むためにお城へ行く」ことがあった。花見で屋台が並ぶのも一興だが、普段から飲食できれば、親しみも増す。史跡を守るため、店舗撤去は必要だったと思う。ただ、店跡に自動販売機が並ぶ光景が定着したのは、どこか寂しい▼今年から城を真正面に望める市庁舎14階の食堂が土日営業を始め、新設の歴史館前にはお茶を楽しめるスペースができた。ゆったりできる場が増え、城に親しみを感じる市民が多くなると期待したい。(小倉)
(ニュース和歌山2016年4月2日号掲載)