3月に京奈和自動車道が岩出市から和歌山市までつながり、和歌山県内区間が全通、今月には第二阪和国道(国道26号)延伸により、和歌山市と堺市が直結。和歌山市と周辺都市との交通は飛躍的に向上しました。
これまで府県間道路は貧弱で、2車線の和歌山阪南線(旧国道26号)ですら豪雨や交通事故で通行止めとなり、大回りせざるを得ないことが何度もありました。第二阪和国道で、災害時に使える道路が増えたのは朗報です。
主要道開通の一方で、事業化が難しくなった都市計画道路は変更を余儀なくされています。大半は50年以上前に計画され、本紙配布地域では、紀の川市が4年前、和歌山市は2年前、海南市は昨年、見直しを終えました。4車線を2車線にしたり、道路計画そのものを廃止したり。実行性を高めるため、整備路線をしぼる訳です。
ただ、気になるのは、道路を広げる計画そのものがなくなることの影響です。
例えば、県立図書館の南側には、水軒小雑賀線として、大浦街道の西から高松交差点を経て国体道路までを東西に貫く幅20㍍の幹線道路が計画されていました。現状は、図書館から西は車1台がやっと通れる幅の生活道しかありません。車はすれ違うことができず、歩行者や自転車ともスムーズに行き交うのは難しい。改善が見込まれていましたが、計画廃止で幅20㍍の道路が通る話は消滅しました。
といって、旧来の生活道をそのままにしていて良い訳ではありません。通り抜けに利用する車がある限り、何らかの安全対策は必要です。
そこで提案です。当面の安全対策として、生活道沿いの空き家や空き地を活用し、車や人の待避所をつくれないでしょうか。山間部の細い道だと車が行き違えるようスペースを設けていますが、その都市版です。和歌山市は「生活道に待避所を整備することは、まずなかった。住民の協力、要望があれば、対応は可能」と話しています。さらに、生活道を通り抜けに利用する車がスピードを出せないよう、道路にハンプと呼ばれる隆起舗装を設けるのも手です。
住宅密集地には狭い生活道が多く、どことも同じような課題を抱えています。主要道路が開通した今、身の回りの生活道に改めて目を向ける時期。安心して暮らせる町の実現へ、新たな取り組みが望まれます。 (小倉)
(ニュース和歌山より。2017年4月8日更新)