9月から土曜号１面で新連載「わかやま滝物語」を始めた。熊野古道を30年以上撮り続ける海南市の写真家、大上敬史さんが毎週、和歌山県内の滝にまつわる伝説や歴史を紹介する▼県内には有名、無名を合わせ１０００以上の滝があると言われる。大上さんは、６年前の紀伊半島大水害の少し前から滝を撮り始め、これまでに２００ヵ所以上を撮影してきた。仕事の合間を縫い、何時間も歩かないとたどり着けない山奥の滝や、雨の後にしか現れない滝など、貴重な滝が多い▼那智の滝や高僧が修行したと伝わる滝だけでなく、小さな地区単位で住民らが守ってきた滝がある。古くから滝は人々の信仰を集め、伝説の舞台としてあがめられてきた。大上さんはそういった歴史や文化、時に厳しい表情を見せる自然の営みに引かれるそうだ▼連載は、滝の美しさ、ダイナミックさだけでなく、周囲にあるほこらなどが写った写真も紹介する。人と自然のかかわりの歴史や、あるべき姿について考える機会にしてほしい。　（林）