「長年のご愛顧誠にありがとうございました」「しばらく休業させていただきます」──。シャッターに張られた紙を見るとドキッとしてしまう。年末から最近にかけて、居酒屋、金物店、喫茶店…と閉店の知らせが続いた▼先日は、お気に入りだった堀止の純喫茶が57年の幕を下ろした。水槽の中にいるような気分が味わえるブルーのガラス扉に、モダンなデザインのナショナルの時計、メタリックなランプシェード、どれもすてきだった。「長い間ありがとうございました」とそっと外観をカメラに収めた▼喫茶店の開店ラッシュは昭和30〜40年代。マスターの大半が高齢になり、致し方のないことだろう。姿を消す昭和の喫茶店を忘れまいと、最近はカフェで「純喫茶メニュー復活」といったイベントも▼この3年で訪ねた和歌山市内の喫茶店のマッチ箱を眺める。今は灯りがともらない店もちらほら。「まだ待っていてくれよ」との気持ちで、今年も愛すべき店、愛すべき味を求めにいこうと再決心した。 (島本)
(ニュース和歌山/2018年2月3日更新)