2月25日に閉会する平昌五輪、最も感動したのはスピードスケート500㍍を制した小平奈緒選手の金メダル。試合後、ライバルである韓国の李相花選手と健闘を讃え合い、互いの存在のかけがえなさを語った姿は、「平和の祭典」は建前ではないと感じさせてくれた▼国際スポーツの舞台ではしばし国家意識が噴出する。サッカー競技場に試合前、領土問題にかかわる横断幕が掲げられたこと、遺恨のある国に敗れ、ファンが暴徒と化したこともあった。国内でも、大相撲でモンゴル人力士を悪役視するヤジが今も飛ぶ▼選手やチームは私たちの代表なのだから、国や故郷を重ねるのは自然なことと思う。ただその意識が排外的に働いてしまうのはよろしくない▼小平選手と李選手が示したのは競う一方で、高め合うことの素晴らしさだ。これを政治的な文脈に移すのは簡単ではないが、私たちは、足を引っ張り合うのではなく、高め合うことに高い精神性を感じ、心震える生き物なのだとしっかり胸に刻んでおきたい。 (髙垣)
(ニュース和歌山/2018年2月24日更新)