小麦粉、インスタントコーヒー、ヨーグルト…。いずれも今春、価格が上昇した物だ。政府は物価上昇を目指すのと並行し、企業に賃金アップを求めているが、実感がないというのが多くの人の本音だろう▼価格上昇は2種類ある。販売価格が上がるか、値段そのままに内容量が減る単価アップか。1円でも安く、量の多い物をと、チラシに目を走らせて店に走る人も少なくないのでは▼逆に「量が増えた」と喜んだ経験を思い出した。近視の筆者が学生時代、コンタクトレンズを試した時だ。実は周りの物が小さく見えるメガネに慣れていたため、コンタクトにすることで相対的に全ての物が大きく見えただけだったが、それでも得した気分になった▼メガネからコンタクトに替えたところで、価格も量も変わらないが、気持ちにゆとりができるのであれば悪くない。視点を変えることが、豊かさの尺度を、価格や量といった物質的なものから、気持ちの持ち方に切り替えるヒントになるかも知れない。 (林)

(ニュース和歌山/2018年4月14日更新)