母と散歩中、歩道脇の草むらに隠れるように並ぶ4つの卵を見つけた。空に目をやると、まだ見ぬ我が子を見守る鳥。母のほおは緩んでいた▼ネットで検索してみると「ひばり」。春を告げる鳥として有名で、河原や農耕地に生息するとある。確かに自宅裏は一面の水田だ▼環境の変化により世界的に減っており、レッドリストに登録されている都道府県もある。夏場の水田はカエルがうるさくてうんざりすることもあるが、ひばりの姿は我が家に笑顔を運んでくれた。自然が残る環境に感謝すべきだと反省した▼紀の川市内の架橋工事で発生した土砂が、アユのそ上を妨げていた場所がある。土砂は除かれ、魚道は確保されたものの、工事段階では影響を考慮していなかったという。便利になるのはいいが、そこにすむ生命があることを忘れてはならない。壊すのは人間だが、守ることができるのもまた人間だ▼ひばりにほっこりする半面、ひとつ心配事が増えた。無事に巣立ってくれと、そっと見守っている。 (長谷川)

(ニュース和歌山/2018年5月26日更新)