以前に比べるとテレビを見る時間はかなり減りましたが、週1回、新聞に掲載される視聴率ランキングはなぜか目を通してしまいます。最近、上位に安定して入っているのが毎日放送の「プレバト! !」。芸能人が生け花、絵手紙、料理など様々なテーマで競い、その道の専門家が査定するバラエティ番組で、特に人気なのが俳句コーナーです。俳人、夏井いつき先生の的確な添削に加え、大物芸能人に対しても歯に衣着せぬ語り口でビシッと評価する、そのやりとりが支持を集めています。
俳句と同じ短詩形文芸の川柳。弊紙で約40年間続く和歌山三幸川柳会による投稿欄は根強い人気です。現在、選者を務め、先月、句集を出した三宅保州さん(4面参照)は「定年し、時間ができた方はもちろん、今、仕事が忙しい年代の人にこそ川柳を勧めたい」と話します。
三宅さん自身、県庁職員としてバリバリ働いていた40代で川柳を始めました。帰宅し、布団に入った後も仕事のことが頭から離れず、睡眠不足気味に。「夜中も仕事のことばかりだと、体だけでなく、頭が疲れてしまう。私自身、同じ頭を悩ませるのでも川柳を考えることで、頭をリフレッシュできました」。枕元にはメモとペンを欠かさなかったそう。「川柳でなくてもいい。趣味は心のオアシスになる」と助言します。
働き方改革関連法案がいよいよ4月に施行されます。社員が有給休暇を年に5日は取得できるようにすることが企業に義務化され、残業時間の上限規制(中小企業は来年4月)なども盛り込まれています。働き過ぎ防止は結構ですが、せっかく休んでも、家でテレビを見ながら、頭の中は仕事のことでいっぱい…ではあまり意味はないでしょう。いかに頭の中をリセットするか。休みの質が問われます。
冒頭の「プレバト! !」、あの俳優やお笑い芸人らにこんな才能があったのかと驚かされることがしばしば。芸能人の皆さんは趣味の時間を大切にしているのかもしれません。〝何もすることがなかった日の疲れ〟〝句読点打つと一息つけるのに〟。三宅さんの句集にこんな川柳を見つけました。有休取得が義務化されたからといって、休むこと自体が目的になっては本末転倒。あくまで人生を豊かにするための手段なのです。 (西山)
(ニュース和歌山/2019年3月23日更新)