令和がスタートして10日あまり。今年は明治22年に和歌山市が誕生して130年になるそうだ。これにちなみ、和歌山市立博物館で企画展「写真にみる和歌山市の歩み」が6月9日まで開かれている▼その名の通り、明治から平成にかけての写真がずらり。空襲で焦土と化した市街地、再建された和歌山城、姿を消した市電…。63年間続いた昭和時代は、大きな歴史の変動が色濃く記録されていた▼そんな中、いがぐり頭で橋に腰掛け、うれしげに友だちと並ぶ少年やお城の再建を見守る幼稚園児ら、撮影者のまなざしが感じられる写真はグッとくる。まだ家に眠っていそうな丸正百貨店の包装紙や髙島屋の閉店セールの案内と、ふっと思い出がよみがえる資料にも心引かれた▼市駅周辺の再開発や、にぎわいを失ったまちなか活性化を目指す新時代はどんな表情を見せるだろう。歴史の記録係にとどまらず、市民の愛した味や店、風景など、ここにしかない宝物を探して紙面にスケッチしていければと思う。 (島本)

(ニュース和歌山/2019年5月11日更新)