いつの時代も友情こそ「一生の宝」
高校生がビジネスプランを書くことの本来の目的は何か。大学受験には必要ない、そのプランで起業するかと言えばしない人の方が多いです。では、なぜこれほど高校生対象のビジネスキャンプGTEは国内外から受講応募が殺到するのか。
今の高校生は小中学校の課程で、探求の時間が授業にあります。「これはAです」という画一的な教え方よりも「(自分は)AがなぜAだと思う? Bではないのか? Aは本当か?」と探求するのです。答えがない現代に必要な授業です。その研究の発表も手なれたもので、論理立てコンピューターを使って発表資料をパワーポイントなどのアプリケーションを使いスクリーンに投影してプレゼンするのです。そして、ユニセフのSDGs(世界が抱える深刻な問題)について学校の授業でよく知っています。
この2つの学びの下地があることで、GTEは、高校生にとって大変興味深い1週間となるのでしょう。世界が抱える深刻な問題を自分たちなりに捉えて、ビジネスとして解決する方法を考えるわけです。そしてお得意のコンピュータースキルで発表する。学校で学んできた知識を惜しみなく力試しができるのが彼らにとってのGTEなのです。
ああでもない、こうでもないと、妥協をすることをまだ知らない高校生たちは自分をさらけ出してまっすぐ仲間たちと思いや考えを交えていくのです。時にじゃれあったり、意見の相違に涙したり、出来上がる数枚のビジネスプランの裏にはドラマがあります。
そして彼らがビジネスプランを完成したその時こそ、彼らの一生の宝が同時に完成します。利害関係がなく、建前のない世界で知り合えた友人こそ「一生の宝」。この宝が宝であることに気がつくには、この高校生たちは今しばらく時間がかかるかもしれない。だけど、その友人たちと共に、心のふるさととなった和歌山市にまた帰ってくる、遊びにくる日もそう遠くはないと私は確信しています。
なぜなら和歌山で育った私の心のふるさとは、高校時代を過ごしたアメリカのカンザスで、今も2、3年に1度帰るからです。そしてそこには私の「一生の宝」があるのでした。
(ニュース和歌山/2019年10月19日更新)