ニュース和歌山創刊55周年によせて
 代表取締役社長 小川一夫

 東京オリンピック終了直後の1964年12月、「ニュース和歌山」の前身である「週刊和歌山ニュース」が産声を上げました。オリンピックの余韻が強く残る当時、関西では70年の大阪万博、和歌山では71年の黒潮国体を控え、「明日は今日より良くなる」と信じて、人々は一心不乱に日々の生活に注力していました。

 それ以来、昭和、平成、令和と日を重ねてきました。高度成長、バブルの絶頂と崩壊など経済は浮沈を繰り返し、政治では平成時代に自民党が下野。和歌山も時代の波に翻弄されてきました。

 一方で、55年間変わらなかったと自負できるものがあります。ニュース和歌山は創刊時、基本理念として、「事業を通じ地域社会のお役に立ちたい」を掲げました。市民の心に寄り添い、市民が安心して暮らせる地域社会の一助となるよう、報道も評論も広告も市民の福祉を第一に、真実、公正、友愛、品位を保ち、取り組む姿勢です。

 ニュース和歌山で発信する情報は、もちろん真実であり、また公正でなければなりません。しかし、真実、公正だけでは、時として非生産的な争いが起こるのです。そこに思いやりや友情、心配りがあるか、ニュース和歌山らしい品位を保つ、この精神が非生産的な争いのない地域社会を育み、地域社会のお役に立てるのだという具体的な理念なのです。

 近年は新聞購読者が減少する反面、パソコンやスマートフォンで全世界から情報を受け取れるだけでなく、発信することも可能です。今後も情報の受信は、AI(artificial intelligence)やロボットの技術を使った新しいメディアへとさらに変化していくでしょう。

 私たちもこのような現代におけるニュース和歌山の役割を改めて考えてみました。そこで得たのが、どんな時代になり、どんな情報伝達が行われるようになろうとも、基本理念を貫くことがニュース和歌山の意義であること。新しい時代も、私たちは地域社会に役立つ情報をお届けし続けます。これからもご期待ください。

(ニュース和歌山/2019年12月7日更新)