食を通じた笑顔、幸せ
2004年、「イタリア食堂キッチンキャミー」(和歌山市六番丁)を開店。10周年を機に、今度は和歌山の食材に特化した居酒屋「紀州のしずく」(同市十三番丁)をオープンした。
このころスタッフが20人以上になり、スタッフの家族、さらにはまちづくりまでを意識し始め、「飲食業から始まるまちづくり」をコンセプトに掲げ、店舗展開を始めた。さらに3年前に和歌山の食材だけで新しい和歌山ラーメンを作ろうと「紀州麺処 誉」(同市西ノ店)をオープン、昨年には地元の子育てママさんと高齢のおばあちゃんが一緒に働ける食堂「襷食堂」(同市十二番丁)を始めた。
魅力あるお店が増えればそこに人は訪れ、仕事が増えれば雇用が生まれ、雇用が増えれば人口が増え、人口が増えれば街が豊かになり、魅力的になる。「飲食店は社会(生活)インフラ」と言われるのはそれゆえだと思う。
飲食店はあらゆる産業に支えられている。同時に農業、漁業、小売に流通までありとあらゆる産業を支えている。飲食店はまちづくりそのものだと私は思う。
「私たちにかかわる全ての人々に、食を通して笑顔と幸せを届けます」
コロナ騒動の最中、全スタッフを集めて初めて伝えた経営理念。「私たちは地域と共に発展、成長するため常に誇りを持ち、強く気高くあり続けます」と付け足し、自らとスタッフを鼓舞した。
大手チェーンのハンバーガーや牛丼、大手回転寿司チェーンのお寿司。それらも魅力ある素晴らしいお店だ。だけど、10回のうち1回でもいい。自分たちの街のおばちゃん、おっちゃんの食堂や居酒屋で楽しい会話をし、笑顔で食べてみてほしい。
仕事の悩みや彼女の悩み、そんな話を一生懸命聞いてくれ、時には「今日はこれサービス!」と一品サービスしてくれる。そんなやりとりが街の飲食店にはある。そんな街こそ素敵で魅力ある街ではないだろうか。飲食業はそんな街の元気を作る素晴らしい職業だと思う。これからも食を通じ、魅力あるまちづくりに貢献していきたい。
(ニュース和歌山/2020年6月27日更新)