根深いジェンダーバランス

 「ママたちの家庭から地域、地域から社会へのソフトランディング」を合言葉に、2011年から子育て、女性の就労・起業などの支援に取り組んできました。家庭と仕事の両立を目指していく中で、子育ては家族でチームとなってすること、「助けて」と言える人をつくること、コミュニティに所属することの大事さを伝えてきました。私自身、2児の母親として支援する立場であり当事者でもある中で、社会の変化のスピードを感じながら自問自答を繰り返し、このコミュニティに救われてきた一人でもあります。

 今年2月、新型コロナウイルスがいよいよ和歌山にもやってきました。そして、休校、保育園の登園自粛、緊急事態宣言と続き、人と会うこと、余暇活動は制限され、終わりの見えない自粛生活による言語化できない不安が私たちを襲いました。このような不安の中、感染リスク、働き方、子の預け先、収入などの課題は解消されないまま、社会ではオンラインの活用やリモートワークの導入など、移動をせずに済む手段に切り替えざるをえなくなりました。

 しかし、それを実行できるのはごく一部の話で、すべての家庭にネット環境が社会インフラとして浸透しているわけではありません。学校のオンライン授業化は進まず、現場への出勤が必須の仕事も多いです。スタッフや友人たちからの話では、毎日、子どもたちが家にいる間、子を優先して仕事を調整するのは母親が多数で、専業主婦家庭では夫の残業は減ったものの、コロナ禍をもってしても子どもの世話をしていたのは母親。また夫婦で在宅勤務になった家庭では、仕事と子育てを長時間、同じ空間で共有することになり、夫婦間のパワーバランスの不均衡さを痛感した家庭も多かったと聞きます。

 これまで世の中がどれだけ女性活躍、ワークライフバランスを掲げても、コロナ禍で見えたのは根深いジェンダーバランスでした。巡り巡って子どもたちが親となる時まで残さぬよう、私たちが今できることは何なのでしょうか。

(ニュース和歌山/2020年7月11日更新)