母親が感じた不安と負担

 新型コロナウイルスの感染者数が日々増加する中、街中からマスクと衛生用品が消え、これまでの生活が一変しました。メディアは「ステイホーム」を合言葉に前向きに過ごせるよう、〝おうちごはん〟や〝おうちじかん〟の楽しみ方を毎日流しました。働き方や余暇も一変し、リモートワークやオンライン飲み会などが増えました。

 その反面、スポットが当たりにくい親の不安や苦労は置き去りになっているのではないかとの危機感も生まれました。そのような思いから、当団体と和歌山市で認可外保育施設を運営する「めぐみと森のようちえん」が協同し、5月にネット上で「外出自粛による子育てへの影響調査」を実施しました。

 外出自粛によって起きた変化や不安、今後必要だと感じるサービスなどについて、和歌山市内外から158人の声が集まりました。主に30~40代女性からは、「子どもの遊びや学びの確保に対する不安」「運動不足や生活リズムの乱れ」「一人になれる時間がない」「自身のストレス」などの意見が多く寄せられました。また、乳幼児を持つ家庭では、感染拡大防止のため、子育て支援センターの一時閉所や保健所の健診がストップしてしまい、孤独な子育てを強いられたとの声が多くありました。

 自粛中の子育ての負担やストレスが女性にかかっていると感じた一方で、「コロナだから何もできない」ではなく、子どもと密に過ごす時間が増えたことにより、一緒に遊びや食を楽しみ、成長を感じられる時間が増えたと前向きな意見もあり、安心しました。

 しかし圧倒的に多かったのは、外出自粛によって生まれた親子の不安やストレスの声。もし自分が感染してしまったら子どもはどうしたらいいのか…、自分の親は高齢で子を預けることができない…、近くに頼れる親や知人がいない…。一見つながっているようで、つながれていない実情に対して社会は寄り添えていたのでしょうか。

 コロナ禍によって行動変容が生まれましたが、それはウイルスに対するもの。子育て、生活、仕事、すべては人とのつながりがあってこそ成り立つものだと痛感したのです。

(ニュース和歌山/2020年7月18日更新