だれもがつながる社会へ
子育て世代を対象にしたコロナ禍へのアンケート結果から、子どもを抱える母親と社会は、一見つながっているようで、つながれていない実情が浮き彫りになりました。
日々の生活の中で、多くの人がインターネットやSNSを利用しています。しかしそれは本当にコミュニケーションの場として機能しているのでしょうか? 一方通行になっていないでしょうか?
世の中は情報であふれ、自分が知りたいことだけを選択できる反面、すでにあるサービスを知らなかったり、その情報にたどり着けない人たちがたくさんいます。困り事に寄り添うサービスの提供は必要ですが、それだけでは解決策にならないと感じました。
情報化社会は、人と人とのかかわり合いを大きく変えました。スマートフォン片手にオンラインでつながり合え、時間が効率化されたとともに、無意識に飛び込んでくる膨大な情報を自己責任で取捨選択し、個人がメディアとなりSNSで自由に発信する。この便利さと引き換えに私たちは「人とのつながり」を失ってきたような気がします。
物質的豊かさよりも、だれもがだれかとつながっていたい。人とのつながりや関係性は安心の基盤となり、一人ひとりが困難や変化に対応する力になります。リアルの場とオンライン、情報化社会とテクノロジーをうまく融合し、人間関係や信頼関係を、共有という名のもと、個々の家庭に応じて程よい距離感でつながり合う「現代版子育て社会システム」として再構築していくことが私たちに求められていると実感しました。
緊急事態宣言が解除され、日本中が元に戻り始めましたが、コロナ禍で自分たちにとって大事なものは何だったのか…。もの? お金? 健康? 人との関係性? どれが満たされて、自分自身の資本となれば不安に過ごすことがなくなるのでしょうか。
このコロナ禍は、私にとっても立ち止まり、社会の在り方を深く考える機会になりました。これから先も続く不安定で不確実な未来に柔軟に対応し、創造し、そして循環していくことが必要だと感じています。
(ニュース和歌山/2020年7月25日更新)