選ぶ楽しさ 届けます
現在、日本に「買い物弱者」と言われる方は800万人以上いるとの国の調査報告があり、社会問題となっています。そういう人たちの力になりたいと、今から5年前に移動スーパーわかヤンを立ち上げました。現在は4台で和歌山市内を日々、フル回転で巡回しています。
訪問先は山奥の限界集落ではなく、市街地で単身もしくは夫婦で暮らす、高齢の方が中心です。近くにスーパーや商店がない、例え近くに店があっても、重い物を持って帰るのが大変だ、大きな道は怖くて渡れない、手押し車で雨や風の日は歩けないなど、様々な理由で買い物に困っている方たちが和歌山にたくさんいます。
そういう方は、欲しいものがあると家族や近所の人、ヘルパーさんが買って来てくれます。でも気を使う、欲しい物と違う…。いくつになっても、やっぱり自分の目で見て買いたいのです。コンビニや宅配弁当という手もありますが、それでは飽きてきますし、生鮮食品が食べたくなるでしょう。
私は生まれ育った和歌山に大変愛着があり、地元の食材にこだわった品ぞろえを行っています。長年、和歌山で暮らしてきたお客様の欲しい物とも一致し、それが住み慣れた地域で暮らすお手伝いの神髄になります。
わかヤンは毎週2回、決まった時間に自宅前まで伺い、お客様自身が欲しい物を見て、触って、においをかいで、納得した上で買い物していただきます。近所の人が集まっておしゃべりが始まることもあり、皆で楽しい時間を過ごしながら、お互いを見守っています。
個人はもとより、ヘルパーやケアマネジャー、地域包括支援センターや介護施設からも訪問依頼が殺到しており、わかヤンの需要は拡大し続けています。毎日が目の回るような忙しさです。社会貢献をしたいと始めたこの事業を、大げさですが、命懸けで続けていこうと決意を新たにしています。
(ニュース和歌山/2020年10月10日更新)