どう暮らし、どう働く?

 8月、様々な業種の人が情報交換しながら共に働ける空間「コワーキングスペース」を仲間たちとオープンした。名前はcotowa。和歌山市の中心部、緑豊かな本町公園の黄色い建物の2階にある。都市部とはひと味異なるローカルコワーキングスペースとして、この地域を選び、自らの暮らす・働くをつくろうとする人々が集える居場所となればうれしい。

 そもそもコワーキングスペースをつくりたいと思った私にとっての原点は、「子どもの近くで働きたい」という思いだった。2016年暮れに出産してまもなく、夫の転勤で和歌山から東京へ生活拠点を移した。テレワークをしていた私は、「自宅で子守りをしながら働こう」と考えていたが、行き詰まるのに時間はかからなかった。

 しかし、仕事か、子育てかの二択に疑問が募り、子どもと働ける場所を探した。そうして出合ったのが、家族で使える保育園付きシェアオフィスだった。年齢、性別、国籍、仕事などが異なる人々がアイデアを語り合ったり、みんなで子育てをしたり…、まるで江戸時代の長屋のような環境だった。

 楽しい一方で、東京と地方の機会格差や情報格差にがく然とする自分がいた。地方にもこんな場所があればいいのに…。地元に戻ることが決まっていた私の脳裏に様々な思いがあふれた。そして、不満があるなら自分でやってみるしかないと活動を開始した。

 19年に和歌山に戻るも、20年に入りコロナが流行し、道が途絶えたように思えた。4月に自粛生活が始まると、子育てと仕事の両立に再び苦戦する。こんなときこそ助け合えるリアルなコミュニティが必要だと痛感した。各地で密集しない働き方が進む中、逆行ともいえる「リアルな場作り」を決断した。幸い仲間がいたことで、急ピッチで場作りが進んだ。

 親子向けスペースはまだ叶っていない。しかしcotowaを起点に同じような思いを持つ仲間たちが集まってきたら、できることが増えると信じている。もしご意見、アイデアがありましたら、ぜひ一緒にお話しましょう。

(ニュース和歌山/2020年11月14日更新)