様々な人が出会う仕掛け
コワーキングスペースcotowaのほかに、学術団体を支援する会社をつくり、東京、三重、和歌山のメンバーで仕事をしている。これ以外にも、情報交換イベント〝テレワーク会〟の主催、お寺で行事などがない時間、仕事場として開放する〝TERA WORK〟参画など、全国規模の仕事にかかわっている。
場づくりを含めるすべての活動に共通する思いは何か。それは、自分らしい生き方を選択できる人が増えたらいいなという願いだ。
元々、私は学校といった枠が苦手だったが、社会人になるとそれが顕著だった。だれかが決めた場所、時間、他人と働く状況、暮らしと仕事が分断されている状態への違和感が強まり続けた。当時、自分だけがおかしいと思い、周りに合わせようと試行錯誤するも挫折。真っ暗闇の中に落ちてしまったが、ひょんなことから起業を選んだ。
1年経ったころ振り返って、自分には独立して働くのが合っていたんだと思うようになった。同時に、一人ひとりに合う働き方があるのではないか、以前の私のように八方ふさがりに感じている人がいるのではないかと思い始めた。しかし、その時の私には、自分で何ができるか、まだ分からなかった。
ヒントを得たのは、東京で出合った家族で使えるシェアオフィスでの経験だ。年齢、性別、仕事、国籍など様々な人と過ごすのは意外にも心地が良かった。なぜなら、お互いに違うのが当たり前で、「あなたはどんな仕事をしていて、何を大事にしている人なの?」とありのままの個人が重視されるからだ。その中で、自分の持つ特徴や、課題意識に気付かされた。
「一人ひとりに合う働き方があるのでは?」との過去の問いに対して、「異なる価値観を持つ人々の中に身を置くと、本来の自分や取り組むテーマを見つけやすい」との手がかりを得て、様々な人が出会う仕掛けをつくるべく現在の活動をしている。
また、1つの物事、1エリアへの依存に対して、個人的には危機感を持っている。困ったときに助け合えたり、知恵を出し合えたり、そういうゆるやかなつながりを育てておくのは、共に時代を生き抜く上で大切ではないだろうか。そして、その方が楽しそうだと思う私自身の下心も打ち明けておく。
(ニュース和歌山/2020年11月21日更新)