1985年公開の映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』。第2作で描かれた2015年となり、未来の生活の実現度がよく取り上げられている。ゴミを燃料に空を飛び回る車や濡れると自動乾燥する上着はまだだが、テレビ会議やタブレットパソコン、指紋認証システムは既に普及した▼それどころか、解雇通告がFAXで送りつけられるシーンがある。いまなら、さしずめメールだろう。通信面では、30年前の想像以上に進んだ感すらある▼そう思っていると、中東や名古屋で起きた殺害のニュースが飛び込んできた。ネットを見れば、殺害後の画像や容疑者のプライバシーに関するキーワードが、先回りして検索窓に表示される。内容は管理者により削除されることも多いが、さらなる投稿が後を絶たない▼報道機関なら自主的に倫理規定を設け、少年法にも配慮する。だが、誰でも世界のどこからでも発信者となれる現在、「便利な世界」と喜んでいては済まされない問題もまた、浮き彫りになった。(小倉)
(ニュース和歌山2015年2月7日号掲載)