以前、本欄で純喫茶巡りを楽しんでいると書いた後、読者から「和歌山市駅近くにあったホワイトという喫茶店を懐かしく思い出した。ウエートレスさんがかわいかった」とのハガキをいただいた。調べてみたがあいにく詳細は分からず、想像がふくらむ▼相変わらず週末、喫茶店を訪ねている。先日は創業半世紀を超える、とある店にお邪魔した。かつては市電の停留所と大型商業施設がそばにあり、昼休憩に女性従業員が弁当持ち込みでおしゃべりに花を咲かせたこと、創業時から今も現役のレジスターのこと…。飲み物一杯で申し訳ないほどたくさんの話を聞かせていただいた▼1973年5月の本紙では「人口に対し店舗数が日本一」とある。「急激に増え、急激に減った」と言う話も聞いた▼正直、コーヒー通ではない。コンビニのコーヒーもよく飲む。けれど、時代を超え守り抜かれた一杯には、店が重ねてきた年月や店主の人柄まで注がれているような気がして、いっそうぜいたくな味に感じる。(宮端)
(ニュース和歌山2015年5月30日号掲載)