11日に新宮市で開かれた秋祭りへ、よさこいを踊りに行った。筆者の所属チームがかつて新宮のチームから楽曲と振りを借りた縁で10年以上、付き合いが続き、毎年恒例となった▼ある会場で演舞を終えると、1人の男の子が駆け寄ってきた。「チームの大ファンです。来年も踊りに来てください」と恥ずかしそうに手作りの名刺を渡してきた。思いがけない出来事に、全員で驚き、喜んだ。男の子はその後の会場でも客席前列から応援してくれた▼夜は道路を封鎖してのパレード。他の祭りにもパレードはあるが、新宮は沿道からの声援と拍手が特に大きい。素人の踊りに惜しみなくエールを贈るお客さんの気持ちがうれしく、踊りに熱が入った▼ただ踊りたいだけなら、毎年行くことはない。そこにいる人との出会いやつながり、醸し出す場の空気感が「また行きたい」という気持ちを強くさせる。古くから参詣者を迎えてきた熊野の人たちには、そういった人をもてなす気質が残っているのかもしれない。(林)
(ニュース和歌山2015年10月17日号掲載)