しつけか? 虐待か? 北海道で起きた児童の置き去りは、児童が無事に戻った後も議論が続いた▼この関心の高さは、山中に置き去りにせずとも、多くの親が自分たちと地続きの問題と思っているからに見える。見逃したくないのは、この事件が、しつけに「恐怖」は有効か、という問題を投げかけている点だ▼子どもを怖がらせ、言うことをきかせる手法は昔からある。「悪い児いねえがあ」で有名な秋田のナマハゲだってそうだし、「夜遅くまで遊んでいると、連れ去られるぞ」と言うのもそう。しかし、それらは世間の向こう側に恐怖を託し、親は子どもを守る側として諭す▼父親は怖いのが当然との時代があったが、やはり恐怖を使い、家族を従わせるのは賛成できない。問題があり、一時的に押さえつけても、その根は必ず残る。また親子が愛情と信頼を交わす基盤も損なう▼親は理解と愛情を粘り腰で。きれい事のようだが、その一線を守ろうともがく親の姿は、必ず子どもに届く…と思いたい。(髙垣)
(ニュース和歌山2016年6月11日号掲載)