毎日の出来事をつづる日記は飽き性で続けられないが、かれこれ3年、気がついた時に手帳に書き留めていることがある。家族や友人にしてもらったり、言われたりしてうれしかったことだ▼それは本当にささいなことばかり。「大好きなアイスを買って来てくれた」「元気になるメールをくれた」「落ち込んでいる時、『安心して』と言ってくれた」…。箇条書きに記したリストは100以上になる▼きっかけは3年前に見たドキュメンタリー番組。けんかばかりで離婚を考える夫婦にカウンセラーが1冊ずつノートを手渡す。「相手に今までしてもらったことを書いて」。1つ、2つと書き進めるうちに妻と夫の目には涙が。「25年前に指輪を買ってくれた」「風邪の時、寝ずに看病してくれた」「毎日お弁当を作ってくれた」▼人は自分がしたことは都合良く覚え、してもらったことは忘れる性分。いら立ちや不満を覚える瞬間の感情に振り回されないよう、ささいなことほど残し、いつまでも覚えていたい。(秦野)
(ニュース和歌山2016年6月25日号掲載)