アメリカでは大統領選挙が終わり、日本では来年1月の衆議院解散総選挙がささやかれます。本紙10月8日号掲載の和歌山よくする法案で、わかやま市民自治ネットワークの橋本雅史理事長が「選挙投票棄権者に罰金を」と提案。これに対し、「投票は権利。罰則は権利の義務化」「権力否定の意思で棄権する人がいる」と寄せられました。
賛否はともかく、意見で目についたのは、罰金に反対でも「投票率低下は問題」と考える人がいること。「信頼回復が先決」「政策をたたかわせることが大切」と政治への憂いを感じました。
時に、有権者から、「政治は別世界のできごと」との感じを受けるときがあります。それは、政治家の考えが伝わって来ないことも理由の1つと思います。
では、立候補者が持つビジョンや政策を、どうすれば知ることができるのでしょう。国政選挙や首長選なら、立候補者が少ないこともあり政策は候補者別に報道されます。一方、より身近なはずの地方議員選挙は、人数の関係からか個別報道されないことが目立ちます。
例えば、40人以上立候補する和歌山市議選だと公開討論会は現実的でなく、すべての個人演説会を聞くのも難しい。
より身近な地方議会への関心を高めることが政治不信からの脱却につながるはず。その頼みの綱は、投票前に選挙管理委員会が出す選挙公報です。ただ、1人分のスペースが小さく、ビジョンは示せても具体的な施策を詳しくは書けず、記載内容は自由なため、統一感も皆無です。
先の市民自治ネットは2003年の県議、和歌山市議選時、全立候補予定者に質問状を送り、回答を冊子にして公開しました。質問は、立候補動機、一番したいこと、財政、地域活性化、小学校統廃合、子育て支援など20項目に及び、回答から考え方や政治姿勢が浮かび上がりました。残念ながら、この時だけでしたが、個々の違いが出たことに興味を引かれました。
内容は吟味する必要はあるものの、選挙公報も政治姿勢、ビジョン、施策を始め、いくつかの項目を記載必須にすれば、同じ課題の中で考え方の違いを知ることができます。可能なら、こういった形に変えられないものでしょうか。
地方議会選から始め、国政や首長選も同様に進めて候補者の考えを知れば、政治への関心を呼び、不信感からの脱却につながると思えるのです。(小倉)
(2016年11月12日号掲載)