新宮市の神倉小学校に11月、アニメ映画界の巨匠、宮崎駿監督が突然現れたというニュースを見た。スタジオジブリの社員旅行でゴトビキ岩を見た帰りのことで、木造の味わいある体育館を見かけ、思わず引き込まれてしまったらしい▼社員旅行が和歌山であったこと、巨匠自ら参加していることに驚いた。ジブリ作品に広がる色彩豊かで神秘的な自然風景は、今でも好奇心を失わず、各地を歩くたまものなのだろう▼宮崎監督からは後日、校長に宛て、「どうかあの建物を大切にして下さい。子供達に巨大な木造建築物をのこそうとした人々の努力を伝えて下さい」とつづられた手紙が届いたそうだ。やはりどこまでもまなざしは「子ども」に注がれている▼『風立ちぬ』を最後に長編監督の引退を宣言してからも、復帰するのではと動向に注目が集まる。友ヶ島は『天空の城ラピュタ』の世界に似ているとにわかに話題だが、いつかこの旅で見た風景が、作品に反映される日が来るかも…と期待してしまう。(宮端)
(2016年12月10日号掲載)