自然が生み出す心の余裕
めぐみと森のようちえんでは、自分と子どもと向き合う時間をテーマに、未就園児の親子クラスを週一度、設けています。
「子育ては母親がやって当然」とのジェンダーバイアスが根深い社会の中では、自分のことがどうしても二の次、三の次となってしまいがちです。さらに周囲の目は減点方式で、「きちんとできて当たり前」との無言の圧力は子育ての大きなプレッシャーになっています。
森では、子どもが大きな声で泣いても気にならないし、駄々をこねて座り込んでも、ふっと空を見上げて気を紛らわせられます。食べ物をこぼしても、お外なので大丈夫、虫たちが食べてくれます。
そんな環境の中で、自分と上手に切り離された「子どもという生き物」を知ったり考えたり、またお母さんが好きなものや楽しいと思える瞬間に出合える機会になったり。親が自分自身の機嫌をとる方法を知っていれば、子どももご機嫌でいられます。
常に「今」を生きている子どもたち。だから親には今やってほしいことを要望します。すぐに解決できなくても、こちらが自覚し、できるだけ早く「応(こた)える」ことが重要です。応えてもらえなかった過去の積み重ねが、子どもたちの将来における人間関係や夫婦関係、子育てに大きく左右すると考えています。幼児期に親がしっかり受け止める、その基盤を丁寧につくってあげたいと思います。
とは言うものの、親もその時々で状況がありますよね。いつも体力や気力、時間がある訳ではありません。だったら、まず人に頼る、サービスに頼る、思い切って何かをやめるなど状況を変えることも必要です。子どもの一番近くで育てている親一人が責任を感じて頑張るのではなく、周囲の協力を得られるようになれば、子どもの言葉に耳を傾け、応える余裕も生まれるでしょう。
私たちは今後、妊娠期のサポート、子どもを望む人、父親の集いの場など、あらゆる場面に対応できる施設を和歌山に造りたいと計画しています。これからも全ての親が愛を持って子どもを育てていける社会を目指し、活動を続けていきます。
(ニュース和歌山/2021年3月27日更新)