ここ半年で近くのスーパー2軒が閉店した。先月閉めた店は普段から通い、私も、世代代わって私の子どもも遠足のお菓子を買った愛着のある店だった▼そんな寂しさはさておき、これで一番近いスーパーまで歩いて30分となった。もし、自分が高齢ならば、どうするだろうか。免許を返上せず車に乗り続け買い物に行くか、移動スーパーに頼るしかない。〝買い物難民〟との言葉を初めて我が事のように感じた▼80代の母は買い物に出て、「久しぶりに昔の知人に会った。元気そうでよかった」とよく話す。地域のスーパーはただ物を売り買いするだけの場ではなく、ライフラインであり、地域の結び目でもある。その点は公共交通と同じく社会的責任があると思う▼コンパクトシティとの言葉を聞いて久しいが、高齢化率の高い和歌山で、安心して買い物できるか、否かを踏まえると、ちょっとまちのきめは粗い。事業者だけではなく、まちづくりと福祉の観点から、しっかりと行政の課題に位置づけてほしい。 (髙垣)

(ニュース和歌山/2021年5月8日更新)