前回記載した、国及び地方自治体で推進している「まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、大都市における超低出生率、地方における都市への人口流出と低出生率が日本全体の人口減少につながっているとされています。そこで、現在の東京一極集中の見直しや、若い世代が結婚・子育てをしやすくなるような環境づくりをし、人口減少の克服を目指しています。地方に仕事をつくり、人の流れを生むとともに、暮らしやすいまちづくりを目的としています。
この総合戦略の目標である、2060年に約1億人を確保する条件は、合計特殊出生率を2030年に1・79、2040年に2・07にすることです。合計特殊出生率とは、未婚者も含め女性が15〜49歳に産む子どもの数の平均をいいます。合計特殊出生率の推移は、全国、和歌山県共に2005年から上昇傾向でしたが、近年は1・5前後となっています。
過去2回の国勢調査における5年間の人口変化をみると、総人口では国、和歌山県共に4~5%の減少ですが、県の年少人口(0~15歳)が9%減と、国の1・5倍になっています。紀美野町や有田市の減少が特に大きいですが、全市町で減っており、将来の人口減少に歯止めがかかりません(表)。
新型コロナウイルスの影響でテレワークが促進され、パソナのように本社機能を淡路島に移転する企業も出ています。和歌山県においても、白浜町を拠点にテレワークを推進しています。ふるさと回帰支援センター(東京)での移住希望地ランキングで和歌山県は年々上昇を続け、2020年のセミナー参加者で1位。窓口相談調査では8位となり、特に20~40歳代の若い世代が上位でした。
和歌山の全市町村が、移住される方々に、健康で幸せな余暇を提供し、〝暮らしやすく、働きやすい和歌山〟をアピールする。そこから、県全体がテレワーク拠点となり、さらにたくさんの家族が生活し、自分らしく働ける街になってほしいですね。
和歌山社会経済研究所研究委員 中西 望(第4土曜担当)
(ニュース和歌山/2021年5月22日更新)