初回から続く人口問題について、政府関係機関の公表する将来予測ツールを用いて、和歌山市内42地区の将来人口予測を行いました。
2015年から45年までの30年間で、山口、貴志、宮北、安原など9地区では人口が増加する予測ですが、逆に50%以上大きく減少する地区も9地区あります。加太、雑賀崎、田野は4分の1に、中心市街地でも大新、城北が3分の1と急激な人口減少がみられます(図)。
我が町の永続のために、加太や雑賀崎、田野地区は、地域に強い思いをもって、住民とともに、地域に溶け込みまちづくりを行う「関係人口」の増加を図る必要があります。天空の城ラピュタに似ていると言われる加太地区の友ヶ島には、世界で人気がある日本のアニメやコミックファンが訪れたり、雑賀崎は日本のアマルフィとして、欧米人好みの風景や自然に加え、日本の漁村文化が残っていたりと、世界の人々とともに、まちを持続させる潜在能力があります。
大新、城北など市の中心部は、誘致した4つの大学に通う若者でにぎわうまちづくりだけでなく、大学生による子どもの教育、医療相談、リハビリ教室といった、赤ちゃんから高齢者まで集う場として、ぶらくり丁の再生も考えられます。大学生は収入を得ながら実習ができ、直接現場から課題を得て学び、即戦力となります。
働き方改革と育児とのギャップに悩む若い世代が保育や教育を求め、高齢者が健康を求め、まちなかの生活が始まり、市内全域や周辺市町からも人が移ってきます。そして、人の移動を便利にする新しい交通システムにつながった超小型電気自動車をはじめ、様々なバリアフリー型の乗り物が走り、新たな情報技術の課題が生まれIT企業が集まる。このような、連鎖的に人が集まり、住民と大学、企業が相乗効果を出す、全体最適で〝未来につながるまちづくり〟を夢に見ています。
和歌山社会経済研究所研究委員 中西 望(第4土曜担当)
(ニュース和歌山/2021年6月26日更新)